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ベトナム観光記 その3 トンネル・官邸・収容所

博物館に引き続き、ハノイ・ホーチミン市の観光施設を紹介する。

【ホアロー収容所】
ハノイ、ホアンキエム湖近くにあるフランス統治時代に建てられた監獄。
かつては植民地支配に抵抗したベトナム人が収容され、ベトナム戦争の際には北ベトナム軍の捕虜収容所として使用された。

クリーム色と黒を基調にした建物で、一見すると監獄には見えない。
しかし、敷地内に入ると、監獄の中に置かれた囚人の人形や写真、ギロチンや拷問器具などの展示品などから当時の雰囲気が伝わってくる。

男性の政治犯が収容されていた"Cell E"では、左右に並べられた木の台の上に、足に鉄輪を嵌めた囚人の人形が並んでいた。
"hell of the hell"と呼ばれていた、規則を破った囚人が閉じ込められた独房、幼い子どもを抱えた女性も収容されていた女性専用の房などが続く。
中に入ってみると暗く重く、抗う気力を削られていくのがわかる。

米軍兵士が使用していたベッドや、バレーボールをする兵士の写真もあり、時代時代でどのようにこの収容所が使用されていたのかを知ることができる。

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【統一会堂】
ホーチミン市にある統一会堂は、旧南ベトナムの大統領官邸であり、解放軍が無血入場してサイゴン陥落となった歴史的な場である。
現在は観光客に一般公開されており、一部の部屋は会議などで使用されている。

敷地は広く、庭には木々が植えられ、戦車が展示されている。
近代的なデザインの官邸は、中に入ると外から光が入って明るい。

官邸の内部には、日本庭園風の中庭、種々のレセプションルームのほか、映画館やゲームルーム、屋上には大統領専用のヘリポートまである。

地下に降りるときらびやかな世界から反転、作戦用の地図が壁に貼られていたり、情報収集用の大型のラジオ受信機、殺風景な小部屋が連なる。
大統領の自室につながる秘密の階段もある。

どうせ金持ち志向の応接間や貴賓室があるだけだろうと思っていたら、なかなかどうしてエキサイティング。一国の政治の表と裏を見た気分だ。

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【クチトンネル】
ベトナム戦争時、南ベトナム民族解放戦線が米軍へのゲリラ戦を展開した重要な拠点が、クチだ。
そこで掘られたトンネルは全長250キロにも及ぶ。

私は日本語のガイドツアーに参加したのだが、ホーチミン市中心部から約2時間のバス移動は英語ツアーと一緒だった。
ベトナム人の英語ガイドが、こう問いかける。

「この中にアメリカの方はいらっしゃいますか?」

一人手を挙げる。すると、彼は言う。

「ツアーの後であなたを殺します。クチトンネルのリベンジだ。
……ハハハ、冗談です!恐がらないでください。
ベトナムは発展しました。今は、新しい時代です……」

和やかなムードでブラックジョークをとばすのである。

クチトンネルは約20年にわたって掘られ、内部に会議室や食堂まである。
20〜30メートルおきに配された空気穴、近くに設置された種々の罠、ベトナム人なら識別できる特別な葉でカムフラージュした落とし穴などを、ガイドの説明を聞きながら見て回った。

実際に、トンネルに入って通路を歩いた。
私の身長は165センチ。ちょうど戦争当時のベトナム人男性の平均身長くらいだ。
腰をかがめ、膝を曲げ、ゆっくり歩くのがやっとである。
たった20メートルほどなのに、トンネルから出てきたときには息が上がっていた。
地上ではB52が旋回し、枯葉剤が降る中、この狭く暗く低いトンネルを進み、ときには1、2週間も地下で暮らしていたというのだから、想像を絶する極限状態だ。

クチトンネルではライフルの実射体験もできる。
より感覚的に戦争が理解できる機会かもしれないと思ったが、私は怖くて避けた。
他の参加者が実射体験をしている間、日本語ガイドのベトナム人男性に話しかけると、当時はスパイが沢山いたという話や、サイゴンの人は共産党によい感情をもっていないという話を聞かせてくれた。
彼自身は戦後生まれだが、親の世代は間違いなく戦争に巻き込まれている。

これらの施設は、植民地支配や戦争の遺物というより、もはや体験型アトラクションといった様相。
陰鬱な気分にならずにすんで気楽ではあるが、観光客が戦車の前でにっこり笑ったり、トンネルの穴に入ってポーズを決めて写真を撮る光景に、
「う〜ん、なんだかなあ」
と、少々もやもやしたのだった。

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意気揚揚とマニアックな博物館などの話を書き連ねてしまったが、
……わかっているのでみなまで言うな、
なんと可愛げのないラインナップ。

もし帰国後合コンに参加する機会があれば、ベトナム旅行中は雑貨を買ったりアオザイを着たり、オシャレなカフェでベトナムスイーツを食べたことにしたいと思っているので、友人の皆さん口裏合わせをヨロシクっ!

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by red-travel | 2016-08-11 21:31 | 東南アジア・インド
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