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旅と語学 その1 カフェの注文と1、2、3

この世の中の面倒なものベスト3を決めるなら、私の場合以下の三つがランクイン。

・生理
・会議の議事録作り
・スタバの注文

上二つは説明不要であろうが、最後についてはこういうわけである。

スタバのようにシステム化されたカフェでは、コーヒーの種類だけでなく、様々な事柄を選択し伝えなければならない。

サイズ、店内飲食か持ち帰りか、ミルクを入れるか否か、フレーバーを加えるか否か。
そしてカップに名前を書き、出来上がり次第名前を呼ぶという仕組みであるため、自分の名前も伝える必要がある。

当たり前だが、私の名前は外国ではなじみがない。
そのため聞き返されることが多く、スペルまでいちいち教えることになる。
いっそのことダイアナとかジャスミンとか適当に言ったろか、とも思うほどで、

つまり一連のやりとりが実に面倒である。
しかも今いるメキシコでは英語がイマイチ通じない。

しかし、スペインから中欧をはさんで南米、そしてメキシコと、スペイン語圏に半年近く滞在していると、注文に必要なスペイン語も自然と覚える。
今では私も

「カフェ、コンレチェ、チコ、ポル・ファボール。
メジャモ、◯◯……」

(コーヒー、ミルク入り、スモールサイズをお願いします。名前は◯◯です)

と、尋ねられる前に言っている。
スタバ、もはや恐るるに足らず。

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こうして次第にカフェの注文に限らず、日常的に使う表現は何となく理解できるようになった。

特に食べ物・飲み物に関しては、今ではスペイン語、日本語、英語の順に認識している。
英語メニューよりスペイン語メニューのほうが、料理のイメージがわく。

教科書にそって戦略的に勉強した英語と違って、スペイン語は生活の中で吸収していく。
文法は全然知らないまま、目と耳で単語を覚えているのだ。

まるで幼い頃に日本語を一つずつ吸収していった、その過程を追体験しているよう。
こんな経験は滅多にない。

**********

私が日本語以外にも言語があると認識したのは、いくつのときだったろう。

幼稚園か、小学校か、もう思い出せない。
しかし、知識として知っているというのと、感覚的に理解するのとは別物だろうとも思う。

メキシコ、グアナファトのゲストハウスで朝食をとっているとき、隣のテーブルの家族づれから英語で声をかけられた。

「ちょっとあなた、あなたの国では1、2、3……はなんて言うの?
この子が知りたがっているのよ」

そちらを向くと、小学生くらいの女の子が恥ずかしそうに私を見ている。

「ええと、私は日本人です。
日本ではワン、ツー、スリー、フォー、ファイブのことを、
イチ、ニ、サン、シ、ゴ、
と言います」

と、指を折りながら説明した。

その子はきっと、「イチ・ニ・サン……」なんてすぐに忘れただろう。
しかし、少なくともジャパンという国の数え方は、彼女の国の数え方と全く違うと感じたはずだ。
指の折り方も異なっていたかもしれない。

世界にはいろんな顔の人間がいて、全然違う言葉を話しているのだと、実体験として知るのは貴重なことだと思う。
それに立ち会えたことが、なんだか嬉しく思えたひと時であった。

旅と語学  その1 カフェの注文と1、2、3_b0369126_14383386.jpg

(グアナファト;カフェが集まる広場)

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by red-travel | 2017-03-14 14:47 | 旅の日常
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