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旅と語学 その3 ワシントンのサクラ

えー、「その2」から時間が経ってしまったが、気にせず話を続けると、

やはり語学はやりたくないと思いながら、メキシコ中部の都市グアダラハラのマクドナルドでスペイン語のテキストを開き、写経のようにノートに書き写していたときのことである。

壁を拭いていた店員の若い女の子が、

「あなた、どこから来たの?」

と英語で話しかけてきた。

「ハポン(日本)」

と答えると、

「ワタシノナマエハ◯◯デス。ドウゾヨロシクオネガイシマス」

おおお、メキシコ人の女の子が日本語をしゃべった!

聞けば彼女は大学生。アジアについて勉強しているとかで、日本語、韓国語、中国語を少しずつ話せるという。

トッポギが好きだ、ビビンバも捨てがたい、などとメキシコのマックで韓国料理の話で盛り上がる。

私がマックを出るとき、「何かメキシコで困ったことがあったら連絡して」と言ってアドレスを記したメモを渡してくれたので、私も「日本について聞きたいことがあれば」とアドレスを教えた。

彼女はいずれもっと日本語や韓国語がうまくなって、きっとアジアに来るだろう。
他の言語を学ぶことは、違う土地で暮らすための土壌作りのようにも思える。
彼女であれば、メキシコでもアジアでも花を咲かせられそうだ。

**********

帰国前、ワシントンのナショナル・ギャラリー前でサクラを見た。
何となくサクラは日本にしか合わないような気がしていたけれど、ワシントンの町並みとも調和して、本当に美しく咲いていた。

サクラは日本じゃなくてもきれいに咲ける。
日本じゃなくてもいいのだ。

日本じゃなくてもいいのだ……と繰り返し自分に言い聞かせながら、帰国後の人生を考え、英語をちゃんと勉強しよう、と思った。

**********

帰国後、単語帳やら文法書やら、高校時代に使っていた教材を買って、基礎から英語をやり直している。

試験で良い点をとるためではない、具体的な相手を思い浮かべながらの勉強には、思わぬ発見もある。

先日、単語帳をめくっていると、こんな単語が出てきた。

swallow

(飲み物・食べ物)を飲み込む
(感情など)を抑える
(改訂版 キクタン Entry 2000,アルク)

妙に親近感を覚えた。
英語圏の人間も、どうにもならない怒りとか、おもてに出せない悔しさとか、そういったものを「飲み込んで」生きているのかもしれない……。

苦手で大っ嫌いだった語学の勉強が、少しずつ面白く感じられるようになってきた。
そんな今日この頃である。

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(ワシントンのサクラはしみ入るくらい美しかった)


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by red-travel | 2017-07-21 16:15 | 旅の日常
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