世界一周をしたものの大きな成長は感じられなかったという話は以前したとおりであるが、成長というほどではないけれど、場数をふんだなあ……と感慨深い思いになる出来事はあった。 海外で日本人がモテるというのは本当で、どんなにみすぼらしい格好をしていても、しばしば男性からのお誘いがある。 旅の序盤、ミャンマーでは逃げるように去った私も、旅が終わるころには英語であしらえるまでになった。 この旅の成果、書き記しておかねばなるまい。 ********** 物価が高いニューヨーク、薄暗くすえたにおいのホステルに投宿していたときのこと。 夕飯の後ロビーで読書していた私に、隣に座っていたスキンヘッドの男性が話しかけてきた。 「ぼくはプエルトリコから来たんだ。日本人の友達が何人もいるよ。ホラ、この写真を見て」 ほほう、プエルトリコ。海がきれいというくらいしか知らない。 いったいどんなところであろうか。 そう思い、ジョークをまじえながら次々に写真見せてくるこの男性と、しばらく話を続けていた。 10分か15分くらいたった頃、彼がこう切り出した。 「この宿の屋上からは夜景が見えるよ。行こうよ!」 寒い中外に出るのも面倒なので一度は断ったものの、強引さに押されて屋上に行くこととなった。 ********** ゲストハウスにはテラスが設けられていることがままあり、旅行者がそこでビールを飲んだりピザを食べたりしていることも多い。 この宿にもそうした場所があって、誰かいるのだろうと思っていたら、プエルトリコが先導したのは誰もいない空虚な屋上。 ニューヨークの風がぴゅうっと吹いていく。 「よし、お互い一つずつ質問をしていこう。じゃあボクから。一番好きな色はなに?」 おお……なんだなんだ、一体何が始まるというのだ。とりあえず 「えっと、赤かな。うーん、あなたは何歳?」 と言うと、 「33歳さ。じゃあ、好きな食べ物は?……」 と、なんだこれはと思うままに会話の主導権を握られてゆく。 しばらく当たり障りのない問答を繰り返しつつ、屋内に戻る算段を考え始めたそのとき、プエルトリコはこう言った。 「最後にキスしたのはいつ?」 イヤな予感が的中。 ついに本題に入ってきたのであった。 (その5に続く) (ニューヨーク、メトロポリタン美術館。さすがモディリアニ、目が釘付けになる艶かしさ! でも旅行中にこういう場面はいいや) (こちらはグッゲンハイム美術館にて。似た構図の裸婦でも上とは全然違う表情。モディリアニの内面まで透視するような表現に脱帽) にほんブログ村
by red-travel
| 2017-06-17 10:58
| 旅の日常
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